マハーバーラタと東南アジア
インドの古代叙事詩である、マハーバーラタ・ラーマーヤナは、
東南アジアでは、芸能などに取り入れられ、親しまれています。
バーンダヴァ王家と、カウラヴァ王家の間の同属間の争いを描いたのが、マハーバーラタです。
様々な伝承や、ヒンズー教の説話、詩なども加えられています。
物語の登場人物が、誰かに教訓を語り、諭す物語や教典などが語られるという構成は、
千夜一夜物語と似ているといえますね。
バーラタ王家とバーンダヴァ王家の争い自体が、軸となって語られる物語であるということ、
物語の登場人物が、自ら語るという点が、千夜一夜物語とは異なっています。
マハーバーラタは、王家の争いを中心とした物語が語られていますが、
周辺諸民族である、ドラヴィダ人を野蛮人として扱い、バーラタ族、
すなわちインド人の、バラモン(僧侶・聖職者)、クシャトリア(王族・武家)階級
の正当性を強調したことから、東南アジア一般には、あまり受け入れらなかったようです。
このような事が、原因となっっているのか、
バリ島の影絵芝居ワヤン・クリットでは、マハーバーラタもラーマーヤナも、
同じような頻度で、題材に用いられていますが、東南アジアでは、
どちらかというと、ラーマーヤナのほうが親しまれているようですね。
バリの伝統芸能でもある、ワヤン・クリット(影絵芝居)では、
ラーマーヤナとマハーバーラタは、同じくらいの頻度で用いられていますが、
ラーマーヤナは、王権を強調する英雄叙事詩であることから、
支配階級から民衆に至るまで、広く親しまれ、バリの伝統芸能のなかでも、
ケチャは、ラーマーヤナを主題としています。
バリ舞踊のケチャは、ラーマーヤナから題材をとり、猿たちが王子を助けるという物語と
舞踊とが結びつき、現在のような形になったものです。